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帯状疱疹とは
帯状疱疹とは皮膚の表面に赤いブツブツ(発疹)や小さい水ぶくれ(水疱)ができる病気です。これらの紅斑、丘疹や水疱が知覚神経の走行に沿って帯(おび)のように出現することが病名の由来になりました。
帯状疱疹の原因
帯状疱疹の原因は帯状疱疹・水痘(すいとう。いわゆる「みずぼうそう」)ウイルスだと考えられています。つまり水痘と帯状疱疹を起こすウイルスは全く同じものなのです。ただし水痘とは違って、帯状疱疹は他のヒトから感染して起こるわけではありません。私たちの身体の神経に長い間おとなしく潜伏していた帯状疱疹・水痘ウイルスが何らかのきっかけで活性化そして増殖する結果、帯状疱疹が起こります。
水痘はほぼ全員がかかる病気ですから、帯状疱疹も皆がなりうる疾患であると認識しましょう。
帯状疱疹が出る部位
帯状疱疹による発疹や水疱は胸やおなか、わき腹、背中、腰そして顔面などからだの片側だけに出現します。これは神経内で増殖したウイルスが知覚神経を伝って皮膚表面に出てくることが原因です。
知覚神経は皮膚で感じた痛みや熱さ・冷たさを脳に伝達する役割を担当していますが、帯状疱疹では活性化・増殖したウイルスがこの神経を傷つけることが少なくありません。
知覚神経が傷害された結果、何もしていないにもかかわらず痛みやかゆみ、しびれ、ピリピリやヒリヒリするなどの異常感覚に悩まされる場合があります。皮膚症状がある部位と異常感覚の起こる部位はだいたい同じです。これは帯状疱疹が知覚神経と深く関係している病気であることを理解するとわかりやすいでしょう。
異常感覚の中でも特に痛みはとても強い場合があり、夜の睡眠を妨げることもあるほどです。痛みの種類には灼熱感(しゃくねつかん。やけるような痛みのことです)、突き刺すような痛み、鈍い痛みなど個人差があります。
帯状疱疹はだれでも発症する可能性があります。免疫力が低下する高齢者に比較的多いですが、身体に変化が起きやすい40代や10代の患者さんもたくさんいらっしゃいます。また若いから軽症ですむとも限りません。
帯状疱疹の治療
帯状疱疹のほとんどは外来通院での治療ですが、入院が必要になる場合もあります。身体の広い範囲に皮膚症状が出現した重症の場合はもちろん、顔面神経麻痺や味覚障害(これらは頬や下顎から肩にかけての帯状疱疹で起こります)、膀胱直腸障害(尿や便を出す機能の障害。外陰部領域での帯状疱疹で生じます)を合併した場合なども入院治療が必要です。
帯状疱疹の皮膚症状はふつう2~3週間ほどで治まり、痛みもほとんどの場合は同時期に自然に消滅します。しかし皮膚症状が治まっても痛みだけが頑固に残ってしまうことがあり、特に3ヶ月以上続く痛みは帯状疱疹後神経痛と呼ばれています。激烈な痛みや軽度でもしつこい痛みが長期間ずっと続くので、つらい思いをする患者さんが珍しくありません。帯状疱疹後神経痛を防ぐためにも帯状疱疹のできるだけ早い時期に抗ウイルス薬での治療を開始しましょう。
抗ウイルス薬は暴れているウイルスの増殖を抑える効果があります。帯状疱疹の初期には軽症であっても、放置していると重症化する場合がまれではありません。また比較的若い方であっても軽症で治まるとは限らないのです。上述の帯状疱疹後神経痛を予防するためにも、そして入院が必要になる帯状疱疹を見極めるためにも、早い時期に帯状疱疹を的確に診断し、できるだけ早く抗ウイルス薬の治療を始めましょう。