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- 帯状疱疹に関するドクターズインタビュー
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interview 01
まず帯状疱疹という病気について
教えてください
帯状疱疹は帯状疱疹・水痘ウイルスが原因で起こる病気です。水痘とはみずぼうそうのことです。したがって帯状疱疹と水痘は全く同じウイルスが悪さをする病気であることを初めに知っておいてください。
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interview 02
水痘と帯状疱疹は関係して
いるのでしょうか?
水痘は幼少時にほぼ全ての方がかかる病気です。水痘が治まった後も、帯状疱疹・水痘ウイルスの一部は死なずに神経の神経節と呼ばれる部分に潜伏しています。つまり一度感染したウイルスは全てがいなくなる訳ではないのです。したがって私たちの体内にはウイルスが常に存在していると認識すると良いでしょう。このウイルスが再び暴れることで起こる病気が帯状疱疹です。そのため誰でも帯状疱疹になる可能性があるといえます。
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interview 03
どうして大人しくしていたウイルスが
再び暴れだすのでしょうか?
潜伏感染しているウイルスは、普段は私たちの免疫力で抑えられているために暴れることができません。ところが加齢や、悪性腫瘍(がん)、抵抗力が低下する治療で身体の免疫力が落ちると、じっとしていたウイルスが暴れだして帯状疱疹を起こします。したがって年齢を重ねるほど、帯状疱疹を患うリスクは増加するといえるでしょう。免疫力は一般的に30歳頃をピークにして徐々に低下し、50歳以降では3人に1人が帯状疱疹になるというデータもあるほどです。帯状疱疹を自分もなり得る病気として理解すると良いでしょう。
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interview 04
それでは30歳よりも若い人は
帯状疱疹にはなりにくいのでしょうか?
帯状疱疹は10歳代と50歳以降にピークがあると言われています。若い方がなりにくい病気では決してありません。その理由として若い世代は水痘があまり流行していなかったために軽症の場合が多く、その結果、水痘に対する免疫力が十分についていないからだと考えられています。軽症の水痘であってもウイルスは体内に侵入して潜伏します。しかしウイルスの暴発を抑える免疫力が弱いために、帯状疱疹になりやすくなる訳です。
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interview 05
帯状疱疹になるきっかけのような
ものはあるのでしょうか?
運動や勉強で疲労が蓄積した後に帯状疱疹が出る患者さんは、若い方でも少なくありません。また新型コロナウイルス感染症など別の病気になったために免疫力が低下して帯状疱疹が出現する患者さんもいます。
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interview 06
帯状疱疹は痛いと聞いたのですが、
本当ですか?
帯状疱疹では神経節に潜伏していた帯状疱疹・水痘ウイルスが神経を逆行して皮膚表面に出てくるのですが、この際に知覚神経を傷つけます。知覚神経は痛みや熱さなどを電気興奮として脳に伝えていますが、傷ついた神経は勝手に電気興奮を起こしてしまうために、まるで実際に痛みがあるかのように脳を錯覚させてしまうのです。その痛みは少しピリピリする程度といった軽いものから、激痛までさまざまです。「陣痛よりもつらい」と言う患者さんもいるほどです。
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interview 07
帯状疱疹の痛みは
いつ頃出るのですか?
皮膚の症状が出る前、皮膚症状とほぼ同時、そして皮膚症状からある程度時間が経ってから現れる場合など、さまざまなパターンがあります。当初は無痛でも皮膚症状の2週間後に痛むこともあるので安心できません。これらの痛みをまとめて帯状疱疹関連痛と呼びますが、中でも皮膚症状に先行して痛みが出る場合は、帯状疱疹だとは気づかずに内科や整形外科を受診される患者さんがいるので注意してください。
いったん傷ついた神経は元にはもどりません。そのため帯状疱疹が治った後も痛みが残る場合があり、帯状疱疹後神経痛といいます。帯状疱疹の代表的な後遺症です。
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interview 08
帯状疱疹や帯状疱疹後神経痛を予防することはできますか?
帯状疱疹ワクチン接種により帯状疱疹ウイルスに対する免疫力をアップさせられます。ワクチンを打っても完全に帯状疱疹を予防することはできません。しかし帯状疱疹を軽くすることは可能で、軽くすめば帯状疱疹神経痛を起こしにくくなります。これらの効果は、先行して帯状疱疹ワクチンが認可されていた米国で実証されました。
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interview 09
帯状疱疹にもワクチンがあるのですね
数年前から日本でもワクチンを接種することができるようになりました。まだワクチンのことをご存知ない方も多いので、ぜひ知っておいてください。現在認可されているものは、生ワクチンと不活化ワクチンの2種類です。
当院では2種類のうちで最初に認可された生ワクチンを採用しています。これは子どもさんがみずぼうそうの予防で使うものと同じもので、歴史のあるワクチンと言えるでしょう。つまり、もともと水痘ワクチンとして使っていたものが2016年帯状疱疹ワクチンとしても用いることが認可され、使用できるようになりました。当院で採用している帯状疱疹ワクチンは1回接種です。1回接種すると5〜8年間は、効果が持続します。5~8年後に改めて接種することも可能ですので、ご相談ください。
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interview 10
帯状疱疹ワクチンにも副作用が
ありますか?
正確には、ワクチンで起こる不具合は副反応といいます。帯状疱疹ワクチンに限らず、副反応が全く起こらないワクチンは存在しません。したがってワクチン接種については、メリットとデメリットを十分に理解した上で天秤にかけて判断してください。ただし当院が採用しているワクチン(生ワクチン)はもうひとつの種類(不活化ワクチン)よりも副反応が少ないとされています。当院ではメリットだけでなくデメリットについても、詳しく説明するように努めておりますので、お気軽にご相談ください。
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interview 11
最後にメッセージをお願いします
繰り返しになりますが帯状疱疹は誰にでも起こりえる病気であること、そして重症の帯状疱疹や痛みを予防・軽減するためにワクチンという手段があることをぜひ知っておいてください。