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帯状疱疹の原因
帯状疱疹・水痘ウイルスに初めて感染すると水痘を発症します。水痘では皮膚にブツブツができる、赤くなるなどの皮膚病変ができますが、この際に帯状疱疹・水痘ウイルスの一部は皮膚病変から神経に移ります。
水痘が治った後も、一部の帯状疱疹・水痘ウイルスは死滅せずに神経の後根神経節(こうこんしんけいせつ)と呼ばれる場所に潜伏し続けていると考えられています。ただし通常は潜伏している帯状疱疹・水痘ウイルスが暴れだすことはなく、無症状で経過します。これは私たちの免疫力、とくに帯状疱疹・水痘ウイルスに対する特異的免疫力が働いているからです。
私たちの一生の間には、何らかの原因で免疫力が低下してしまうことが少なくありません。すると後根神経節に潜伏していた帯状疱疹・水痘ウイルスは暴れだし(再活性化)、増殖します。神経節の内部で増殖したウイルスは最初の感染とは逆方向、すなわち知覚神経を通って皮膚の表面に到達して皮膚細胞に感染し、皮膚病変を引き起こします。皮膚病変が知覚神経の走行に沿ってまるで帯のように出現する理由は、ウイルスがその知覚神経を伝わったからなのです。
免疫力低下の2つの理由
では帯状疱疹・水痘ウイルスに対する免疫力はなぜ低下するのでしょうか。理由は2つに分けられます。1つ目は身体の免疫力そのものが低下する場合です。高齢の方が帯状疱疹を起こしやすいのはこのためで、90歳以上の方は半分が帯状疱疹にかかると考えられています。また免疫が低下する白血病や悪性リンパ腫をわずらった場合にも、帯状疱疹になることが少なくありません。
健康な若い方、例えば40代でも疲労がたまると免疫力は低下します。決算期や年末、連休後などに帯状疱疹をわずらう方が多くなりますが、これらの時期は忙しくなる方が多く、その結果、疲労が蓄積しやすいためと考えられています。
免疫力が低下する2つ目の理由は、もともと帯状疱疹・水痘ウイルスに対する十分な免疫力を獲得できていないためです。20代など周囲に水痘の方が少なかった年代では、水痘にかかっていない、あるいは水痘をわずらっても軽い(軽症であること自体は良いことですが得られる免疫力は弱くなります)場合が珍しくありません。この場合、帯状疱疹・水痘ウイルスに対する免疫力が十分でないために、帯状疱疹を生じやすくなります。したがって帯状疱疹は高齢者だけがなる病気ではなく、若い方も全員かかる可能性がある疾患と言えます。